「我々は、言葉にて語り得るよりも多くのことを知っている」という言葉は、
科学哲学者マイケル・ポランニーの言葉ですが、
この「言葉にならない知」のことを、
彼は「暗黙知」(tacit knowing)と呼んでいます。
この本においては、
「なぜ、マネジメントが壁に突き当たるのか?」をテーマとして、
経営の現場において、この「暗黙知」がどれほど
重要な役割を果たしているのかについて語りました。
ポランニーの「暗黙知」という西洋哲学から発して、
禅の「不立文字」という東洋思想の深奥に迫ろうとした本です。
序 章 なぜマネジメントには「沈黙は金」の瞬間があるのか
第 1章 なぜ「論理的」な人間が社内を説得できないのか?
第 2章 なぜマネジメントにおける「直観力」が身につかないのか?
第 3章 なぜ「原因究明」によって問題を解決できないのか?
第 4章 なぜ「矛盾」を安易に解決してはならないのか?
第 5章 なぜ「多数」が賛成する案が成功を保証しないのか?
第 6章 なぜ成功するマネジメントは「完璧主義」に見えるのか?
第 7章 なぜ「成功者」を模倣することができないのか?
第 8章 なぜ「経験」だけでは仕事に熟達できないのか?
第 9章 なぜ「ベスト・チーム」が必ずしも成功しないのか?
第10章 なぜ「中間管理職」が情報化についていけないのか?
第11章 なぜ「動かそう」とすると部下は動かないのか?
第12章 なぜ「ビジョン」が魅力を持たないのか?
第13章 なぜ「教育」しても部下が成長しないのか?
第14章 なぜ「優秀な上司」の下で部下が育たないのか?
終 章 なぜマネジメントは「アート」になっていくのか?
経営者・役員
昨日の朝日ネットワーク・ソリューション・セミナーに参加し、
講演を拝聴しました。
参加の動機は、田坂さんの講演が予定されていたからです。
この間、『複雑系の経営』『複雑系の知』
『暗黙知の経営』『ガイアの思想』『意思決定12の心得』
『なぜ日本企業では情報共有が進まないのか』と読み進むうちに、
不思議な体験をしました。
読みながら田坂さんの肉声を感じていることに気づいたのです。
直接お目にかかったこともなく、
声を聞いたこともないのに、です。
これまでも本を読んで内容に同意したり、
共感することは少なからずありましたが、
それとは違うのです。
そこで、実際に声と話を聞いてみようと思い、参加しました。
結果、読みながら聞こえていた声と同じ声が耳に届きました。
講演の冒頭でおっしゃっていた
「情報化、情報システムをめぐる論議には、人間論が抜けている。
人間がどう変わっていったらよいのかが大事」というご指摘は、
上記の田坂さんの著書を読み始めて、
これだと感じた問題意識そのものでした。
読み始めたきっかけは、「複雑系」でした。
その後何冊かの物理学者や経済学者の本を読みましたが、
「複雑系とは何か」は何となく判っても、
「では俺はどうしたら良いのだ。その考え方で何をしていくんだ」
というもやもやが消えませんでした。
それが『複雑系の知』を読んで、
変な表現ですがストーンと腑に落ちたのです。
初めてのメールで、とりとめもなく長くなってしまいました。
お時間を取らせて申し訳ありません。
ありがとうございました。
会社員
昨年、『複雑系の知』を読みました。
もちろん田坂さんの意図されたように、
ただ複雑系の詳細を知りたいと思ったわけではなく、
私たちの日常にどう役に立つかというのが目的でした。
とてもわかりやすく、多くの刺激を受けました。
昨年末、友人たちに送るメールのなかで
「今年読んで元気が出た本ベスト10」に加えさせいただいたりしました。
また、雑誌の書評で『金融業の進化 10の戦略思考』を知り、
『暗黙知の経営』を書店で見て、2冊をたて続けに読ませていただきました。
おかげさまで今かかえている新事業(ちっぽけなものですが)への
意欲が高まっております。
ありがとうございます。
ご活躍をお祈りいたします。
会社員
1年程前から 複雑系について興味もち、
その体系を勉強しておりましたとき、ご著書に巡り合いました。
『複雑系の知』から始まり、
『暗黙知の経営』を含め『こころのマネジメント』まで計8冊ほど拝読しておりますが、
その都度新しい発見があり、 感謝しております。
日頃意識せずに行ってきた私たちの行動が、
どこから来ているものかを考える機会を与えて頂いています。
ご著書はどれも言葉では語れぬほど私のこころ(思想)に沁みいってくる内容であり、
また講演は冒頭に話されたようにイメ-ジを一変させるほどの強烈なもので、
より一層のファンになってしまいました。
理数系から哲学系まで、本当に幅広い知識の裏付けをもたれたお話を
今後もうかがえる機会がありましたら、ご教示頂ければ幸甚です。