一隅を照らす光
仕事をしていて、ふと思うときがあります。
このささやかな仕事が、はたして、
世の中のためになっているのだろうか。
そう思うとき、いつも心に浮かぶ言葉があります。
一隅を照らす、これ国宝なり。
伝教大師、最澄の言葉。
この言葉は、
社会の片隅で、思いを込め、願いを込め、
ささやかな仕事に取り組む我々を、
ときに、深く励ましてくれます。
そして、
この言葉を、静かに見つめるとき、
この古い言葉が、これからのネット社会において、
新しい意味を獲得していくことを予感します。
なぜなら、ネット社会においては、
社会の片隅の、たった一人の営みであっても、
それが、人々の共鳴と共感を得るものであるならば、
瞬時に、ネットワークを通じて多くの人々に伝わり、
社会全体に、大きな影響を与えるからです。
そのことを考えるとき、我々は、
この最澄の言葉が、
新しい時代において、
新しい意味を獲得することを、予感するのです。
一隅を照らす、これ国宝なり。
そして、ときに、
その小さな光が、
世界のすべてを照らし出す。
2003年11月17日
田坂広志
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