「共鳴」が起こるとき
なぜ、この世界は、
自然に、秩序や構造を生み出していくのか。
その深遠な問いに対して、
生涯をかけて答えを求め続けた科学者がいます。
自己組織化の研究でノーベル賞を受賞した、
イリヤ・プリゴジン博士です。
そのプリゴジン博士が、
自己組織化の理論について語るとき、
不思議なほど「詩的」な言葉を残しています。
平衡状態において、分子は、隣の分子しか見ていないが、
非平衡状態において、分子は、システム全体の分子を見つめている。
そして、そのとき、分子は、互いに共鳴を起こし、
システムは、自己組織化を遂げていく。
このプリゴジン博士の言葉は、
科学の世界について語っているのでしょうか。
それは、我々に、
もっと大切なことを教えてくれているように思えます。
二十世紀の最後にやってきた情報革命。
この革命は、いま、社会や市場や企業において、
「情報共有」を推し進めています。
そして、その社会全体での「情報共有」が、
多くの人々の間での「情報共鳴」を起こし、
社会の隅々での「自己組織化」を促そうとしています。
そうであるならば、
この革命の奔流に目を奪われることなく、
我々は、自らに問うべきでしょう。
我々は、システム全体を、見つめているだろうか。
その問いを、静かに問うべきでしょう。
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