ムカデの自意識
「百足」と書いて「ムカデ」と読む。
この不思議な虫の、苦難の物語です。
ある暑い夏の日、
ムカデが、一生懸命に歩いていました。
すると、通りかかったアリが言いました。
ムカデさん、凄いですね。
百本もの足を、
絡み合うこともなく、
乱れることもなく、
整然と動かして歩くなんて、
さすがですね。
その誉め言葉を聞いて、
ムカデは、ふと考えてしまいました。
なぜ、自分は、
これほどうまく、百本の足を動かせるのだろうか。
アリさんの言うとおり、
絡み合うこともなく、乱れることもなく、
なぜ、整然と動かして歩くことができるのだろうか。
そう頭の中で考えはじめた瞬間に、
ムカデは、一歩も動けなくなってしまいました。
先ほどまで、何の苦もなく無意識に動かしていた足を、
一歩も動かすことができなくなってしまったのです。
このムカデの姿は、
我々の姿に、似ています。
自意識の病。
その病によって、
我々は、いつも、
力を発揮できなくなってしまうのです。
感想を送る
皆さんからのメッセージをお待ちしています。ご意見やご感想をお寄せください。「風の便り」へのご意見や感想は、田坂広志の個人メールアドレスにお送りください。
友達に紹介する
この「風の便り」は、皆さんの友人や知人の方へも、遠慮なく送って差し上げてください。
ささやかな縁と共感の輪が広がるならば、幸いです。
風の便り 配信登録
「風の便り」の配信を希望される方は、こちらをご覧ください。