答えの無い問い
満天の星を眺める夜の海辺で、
父親と息子が話をしていました。
息子は、星空を見上げながら、
父親に聞きました。
この宇宙は、どうしてできたの。
その息子の問いに対して、
父親は、静かに答えました。
この無数の星々の輝く宇宙は、
実は、「真空」から生まれたのだよ。
遠い昔、この宇宙は存在しなかった。
そこには、ただ、「真空」があった。
しかし、およそ137億年前、
その「真空」が、突如、ゆらぎを生じ、
一瞬にして、大爆発を起こし、
この宇宙が生まれたのだよ。
それが、現代の科学が解き明かした、
宇宙誕生の物語なのだよ。
その話を聞き終えた息子は、
遠い星の光を見つめ、
ふたたび、父親に聞きました。
では、なぜ、その「真空」は、
「真空」であり続けなかったの。
この問いに対して、父親は、
黙して答えませんでした。
それは、
「答え」を知らなかったからではありません。
その問いが、
「答えの無い問い」であることを知っていたからです。
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