本当の「奇跡」
ある夜、テレビを観ていると、
「インドの聖者の奇跡」と称して
不思議な映像が流されていました。
「奇跡を起こす聖者」と呼ばれるその人物は、
多くの人々の前で、小さな壺を取り出し、
壺の口を下に向け、手を入れると、
その壺の何倍もの量の灰が流れ出しました。
その迫真的な映像が伝えようとしているのは、
それが、単なる「手品」ではなく、
「奇跡」と呼ぶべき何かであるという
メッセージでした。
しかし、そのテレビを観ながら、
心に浮かんだのは、
その「奇跡」に対する驚きではなく、
一つの素朴な問いでした。
我々は、なぜ、これほどにも
「奇跡」を観たがるのだろうか。
テラスに出て、夜空を見上げると、
無数の星が輝いていました。
その星空を眺めるとき、
いつも、一つの思いが心に浮かびます。
137億年の昔に生まれた、この宇宙。
無限と思える広がりを持つ、この宇宙。
この悠久の時の流れの中で、
この広大な宇宙の片隅で、
一瞬の命と、一瞬の命が、
巡り会う。
それこそが、
本当の「奇跡」なのではないか。
なぜか、
その思いが、心に浮かぶのです。
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