「目を閉じる」ことの帰結
海外のウェブサイトに、
「グローバル・リッチ・リスト」と称するサイトがあります。
自分の年収を入力すると、
自分が、いま、世界の70億人の中で、
何番目に裕福な人間かを教えてくれるサイトです。
そして、このサイトは、
もし、年収200万円を入力するならば、
それが、現在の地球に生きる人々の中で、
上から5パーセント以内の豊かな人間であることを
教えてくれます。
このサイトが伝えるメッセージの意味を考えるとき、
インターネットのメールとして世界中に広がった
もう一つのメッセージを、思い出します。
「世界がもし100人の村だったら」
このメールが教えてくれたのは、
地球という村では、
20人が、十分な食事を取れず、
30人が、安全な水を飲むことができないという現実でした。
そして、25人は、まともな家に住めず、
30人が、文字を読めないという事実でした。
「リッチ・リスト」と「100人の村」
いま、ネットメディアが世界中に伝えている
この現実と事実を知って、
それが、我々の心の中に、
深い「人間的共感」を呼び起こすのではなく、
ただ「統計的数字」にしか感じられないとき、
我々は、あの寓話の主人公になりつつあるのでしょう。
「蜘蛛の糸」
他者の悲惨に目を閉じ、見捨てていくとき、
自身も、その悲惨の中に巻き込まれていく。
その物語の主人公になりつつあるのでしょう。
感想を送る
皆さんからのメッセージをお待ちしています。ご意見やご感想をお寄せください。「風の便り」へのご意見や感想は、田坂広志の個人メールアドレスにお送りください。
友達に紹介する
この「風の便り」は、皆さんの友人や知人の方へも、遠慮なく送って差し上げてください。
ささやかな縁と共感の輪が広がるならば、幸いです。
風の便り 配信登録
「風の便り」の配信を希望される方は、こちらをご覧ください。