「意欲」の新たな定義
何年か前、ベンチャー・ビジネスに関する
シンポジウムに出席したときのことです。
「なぜ、日本ではベンチャーが生まれないのか」
そのテーマを巡る議論の中で、
ある経営者が、熱い口調で、こう語りました。
みんな、もっとハングリーにならなければ。
そうしなければ、
日本に、ベンチャーは生まれないですよ。
この言葉に大きく頷く参加者の姿も
少なくありませんでしたが、
その姿を見ながら、
なぜか、別の思いが浮かんできました。
70年を超えて戦争の無い平和な時代が続き、
世界有数の経済力を誇る国。
最先端の科学技術を有し、
高齢社会が問題となるほど健康長寿に恵まれ、
国民の多くが高等教育を受ける国。
世界でも有数の豊かさを享受しているこの国で、
なぜ、我々は、いまもなお、
ハングリーさによってしか、
自らを行動に駆り立てることができないのか。
その思いを抱くとき、我々は、
大切なことに気がつきます。
我々が心に抱く「意欲」には、
二つの意欲がある。
一つは、「欠乏感」から生まれてくる意欲。
一つは、「感謝」から生まれてくる意欲。
その「感謝の意欲」によって新たな事業に取り組む時代。
我々は、そうした時代をこそ、
切り拓いていかなければならないのでしょう。
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