精神の成熟の条件
『ローマ人の物語』などの著作で知られる
文筆家の塩野七生氏が、
ある対談で、次の主旨の言葉を語っています。
世界レベルのサッカー選手として活躍した
中田英寿氏は、
22歳で初めて会ったとき、
とても20代の若者の顔ではないと思った。
彼の成熟した顔は、30歳の顔に見えた。
プロバスケットボールのスーパースター、
マイケル・ジョーダンの顔は、
2度目の引退を決めた35歳のとき、
50代後半の顔だった。
この塩野氏の言葉を聞くとき、我々は、
人間の精神の持つ、不思議な世界を知ります。
スポーツ、アート、ビジネスを問わず、
一つの道を究めようとして歩んできた人物の中に
年齢を超えた精神の成熟を感じる人物が、いる。
その不思議な世界を、知ります。
そして、そのことを知るとき、我々は、
その世界の奥にある、
一つの冷厳な事実に、気がつきます。
人間の精神の成熟に必要なのは、
人生の時間の「長さ」ではない。
人間の精神の成熟に必要なのは、
人生の時間の「密度」である。
そのことに気がつくのです。
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