あの若者たちの責務
過日、青春時代の日々を過ごした
大学のキャンパスを訪れました。
新緑の輝き始めた春のキャンパスは、
丁度、新人歓迎の季節であり、
学内のあちこちに、クラブやサークルの
新人勧誘の看板が並んでいました。
そのキャンパスの並木道を歩いていると
70年代初頭の光景が、走馬灯のように
心に浮かびます。
あの時代、多くの若者たちは、
このキャンパスで、社会変革を語り、
街頭に出て、デモを行い、
この大学でも、ストライキを行っていました。
大学の正門前の立て看板には、
革命的なスローガンが書かれ、
この日本という国にも、
まもなく大きな変革の波がやってくることに
誰もが、期待と希望を抱いた時代でした。
それから流れた、永い歳月。
キャンパスの隅々に刻まれた
懐かしい記憶を辿っていると、
一つの思いが、心に浮かびます。
あの若者たちは、この歳月を、
どのように歩んだのだろうか。
そして、もう一つの思いも、心に浮かびます。
あの若者たちは、若き日の情熱と志を抱き続け、
この国を、良き国に変えることができたのだろうか。
混迷する政治、低迷する経済、
共感を失った社会、浮薄な文化、
そして、大切なことを忘れた、我々の精神。
その寂しい現実を見るとき、
一つの静かな覚悟が、心に残ります。
あの若者たちには、
未来の世代のために、
まだ、為さなければならないことが、ある。
その思いが、心に残るのです。
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