芸術と人生
2011年5月、先進国首脳会議への随行で訪れた
フランスのドーヴィル。
早朝、海辺を散策しながら、この町を舞台にした映画、
クロード・ルルーシュ監督の名作
『男と女』の一場面を想い出していました。
海を眺めながら、心に浮かんだのは、
この映画の中の、ジャンとアンヌの会話。
[ジャン]
ジャコメッティが、この言葉を残している。
「火事になったら、レンブラントの絵よりも、
猫を助けてあげるだろう」
[アンヌ]
そして、猫を放してやる・・・
[ジャン]
芸術よりも、人生さ・・・
この二人の会話と重なって映し出される
ドーヴィルの海辺を散策する老人と犬の映像が、
フランシス・レイの美しい音楽とともに、
いまも、心に残っています。
芸術か、人生か・・・
古くから語られ続けた、
古典的とも呼ぶべきテーマ。
クロード・ルルーシュは、
ジャンとアンヌの会話に託し、
一つのメッセージを語ろうとしたのかもしれません。
その彼のメッセージに、静かな共感を覚えながらも、
ふと、もう一つの思いが、
心の奥深くから、湧き上がってきます。
人生こそが、
最高の芸術ではないのか・・・
その思いが、湧き上がってくるのです。
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