「ダブルバインド」のメッセージ
文化人類学者のグレゴリー・ベイトソンが、
「ダブルバインド」という考えを述べています。
例えば、母親が子供に対して、
「お前は、良い子だね」と言う。
しかし、もし、そのとき、
母親が、冷淡な表情で、その子供を見ていたならば、
その子供は、とても不安な心境になります。
その「言葉」が伝えてくる受容のメッセージと、
その「表情」が伝えてくる拒否のメッセージが
矛盾しているように感じるからです。
そして、そのような矛盾した状況から逃げられないとき、
我々は、精神的な病を抱えることになります。
これが、ベイトソンが
「ダブルバインド」(二重拘束)と名づけた状況です。
しかし、この考えを広げてみるならば
このようなダブルバインド的メッセージは、
我々の身のまわりに溢れています。
例えば、街角のファーストフード店において、
「いらっしゃいませ」と歓迎してくれる店員の
「目」は笑っていない。
例えば、会社の職場において
「君には期待しているよ」と励ましてくれる上司の
「声」が醒めている。
そうしたダブルバインド的なメッセージが、
いまの社会には溢れているようです。
「ことば」と「こころ」が
離ればなれになってしまった時代。
我々は、そうした時代を生きているのでしょう。
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