螺旋階段を登る社会
弁証法で知られる哲学者のヘーゲルが、
「事物の螺旋的発展」という洞察を述べています。
物事の進歩・発展は、
あたかも「螺旋階段」を登るように起こる。
横から見れば上に登っていくが、
上から見れば元に戻ってくるように見える。
その洞察です。
たしかに、
ネット革命やIT革命によって
急速に「進歩・発展」していく社会を見ていると、
一方で「復活・復古」の現象が目につきます。
例えば、ネット・ビジネスにおいては、
「オークション」(競り)や
「逆オークション」(指値)といった
古い時代のビジネスモデルが復活しています。
また、オンライン学習では、
かつての寺子屋的な学び方が復活しています。
そして、ネット・コミュニティでは、
かつて、地域共同体にあった
ボランタリー経済やリサイクル経済が復活しています。
たしかに、世の中では、
様々な「復活・復古」が起こり、
「懐かしさ」を感じさせるものが、
数多く生まれてきています。
しかし、これは、やはり、「螺旋的発展」
螺旋階段を登り、
あたかも元の位置に戻ったと思っても、
実は、必ず、
一段、高い位置に登っているのです。
すなわち、
古く懐かしいものが、
新たな価値を伴って、復活してくる。
それが、これからの社会において、
我々が、しばしば目撃する出来事なのでしょう。
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