21世紀の「地球観」
かつて、ローマクラブという世界的なシンクタンクが、
『成長の限界』という報告書を発表しました。
人類が現在のような経済成長を続けていくと、
数十年以内に、人口爆発、食糧危機、資源枯渇、エネルギー不足、
そして環境汚染という五つの深刻な問題に直面し、
「成長の限界」に達する。
この報告書が述べたのは、その未来予測でした。
この予測を行ったのは、
米国マサチューセッツ工科大学のメドウズ教授。
そして、この研究において用いられたのは、
地球というものを「巨大な容器」とみなす、
シミュレーション・モデルでした。
一方、「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と呼ばれた
バックミンスター・フラー。
彼は、『宇宙船地球号操縦マニュアル』という書を著し、
この地球という惑星を、一つの宇宙船とみなし、
人類がその宇宙船を操縦していく方法を述べました。
その思想の根底にあったのは、
地球というものを「精緻な機械」とみなす考えでした。
しかし、さらに後、
NASAの科学者であったジェームズ・ラブロック。
彼は、その『地球生命圏』という著書において、
「ガイア思想」と呼ばれるものを提唱しました。
地球とは、一つの「大いなる生命体」である。
その思想です。
この地球観の進化。
「巨大な容器」から「精緻な機械」へ
「精緻な機械」から「大いなる生命体」へ
それは、そのまま、
我々人類の「意識の成熟」を物語っています。
しかし、そのことを考えるとき、
我々の心に、一つの問いが生まれます。
我々の意識が、
さらに成熟し、深まっていったとき、
地球というものは、何になっていくのか。
「大いなる生命体」を超え、
何になっていくのか。
その問いが、生まれるのです。
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