若者たちの矜持
1968年のある日、
大学闘争の嵐が吹き荒れていたキャンパスの
正門前に掲げられた立看板。
そこに、大きく書かれていた言葉が、
いまも、心に残っています。
力及ばずして敗れることは、辞さないが、
力尽くさずして挫けることを、拒否する。
当時、多くの学生の心をとらえ、
彼らを変革の闘いへと駆り立てたこの言葉を
半世紀の歳月を経て思い出すとき、
一つの問いが、心に浮かびます。
この言葉は、あの時代の若者たちの
単なる自己陶酔と英雄主義の言葉だったのだろうか。
それとも、それは、あの時代の若者たちの、
覚悟と矜持の言葉だったのだろうか。
その問いを静かに問うとき、
心の深くから、声が聞こえてきます。
その答えは、まだ定まっていない。
そして、その声とともに、
一つの思いが、心に残ります。
その答えが定まるのは、
いま、ではない。
あの若者たちが、その生を終える、その日に、
答えが定まる。
その思いが、心に残るのです。
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