「謎」を解き明かす力
非平衡熱力学の分野における「自己組織化」の研究で
ノーベル化学賞を受賞したイリヤ・プリゴジン博士に
初めて会ったときのことです。
アインシュタインが語った言葉、
「時間とは幻想に過ぎない」という言葉の解釈を尋ねた私に、
「アインシュタインの時間の理解は正しくない」と、
プリゴジン博士は、熱を込めて語り始めました。
それから、何年か後、
素粒子物理学の分野における「クォーク理論」の研究で
ノーベル物理学賞を受賞したマレー・ゲルマン博士に
会う機会を得ました。
プリゴジン博士の自己組織化理論についての意見を求めた私に、
「プリゴジンの熱力学の解釈は間違っている」と、
ゲルマン博士は、強い口調で語り始めました。
そのときの二人の表情が、いまも心に残っています。
もとより、世界最高の頭脳を持つ二人の科学者が語る理論を
浅学の私が理解することは不可能なことでしたが、
一つだけ、大切なことを学びました。
「強大な自我」
それが、天才と呼ばれる人物の心の深くにあることを。
そして、その強大な自我が、
ときに、「世界の謎」を解き明かす力となることを。
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