「進化」の本質
ある会議で、二人の編集者が議論をしていました。
「本の未来」についての議論でした。
一人の編集者は、こう語りました。
本という情報メディアは、決して無くならない。
「本をひもとく」という言葉のように、
あの頁をめくる感触、紙の手触り、掌に伝わる本の重さ、
そして、本を読み終わって、扉を閉じるときの余韻。
そうした素晴らしい体験を与えてくれる本というメディアは、
どれほど技術が発達しようとも、決して無くならない。
これに対して、もう一人の編集者は、こう語りました。
すべてのものは進化していく。
いずれ、本というメディアも進化して、電子ブックになる。
いや、その本やブックという概念も無くなる。
いまに、眼鏡のような情報デバイスをつけただけで、
世界中の書籍や雑誌、新聞などを読める時代が来る。
どちらも心惹かれる、二つの意見。
この編集者の議論を思い出すとき、
遠く離れた二つの意見を結ぶ
一つの言葉が、心に浮かびます。
進化とは、世界の多様化のこと。
そして、多様化とは、
世界が、可能性を広げていくこと。
世界が、自由を獲得していくこと。
その言葉が、心に浮かぶのです。
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