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第14講 人を育てる、己を育てる
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収録内容
第14講 人を育てる、己を育てる
塾長の田坂です。
「特別講話 第14講」は、
人を育てる、己を育てる
という演題で話をします。
「人を育てる」
それは、どの時代においても
家庭や学校、職場や地域、社会や国家にとって
極めて大切なテーマです。
しかし、この「人を育てる」という言葉は、
大切な言葉でありながら、
油断をすれば、
無意識に「上から目線」の言葉になってしまい、
ときに、
密やかな「操作主義」が忍び込んでくる言葉でもあります。
では、この過ちに流されないために、どうすればよいか。
1990年から10年間、
我が国の大手シンクタンクにおいて
部長、所長、取締役として
戦略組織のリーダーを務め、
部下として預かる仲間の成長を支えなければと思い、
悪戦苦闘する10年を過ごしました。
しかし、
その10年を終えて、気がついたことがあります。
それは、
部下の成長を支えようと悪戦苦闘した自分が
実は、最も成長させて頂いた
その真実でした。
そして、この逆説的な真実を、
かつて、臨床心理学者の河合隼雄氏は、
子供の教育で苦労をしていると嘆く両親に対して、
一つの慈愛に満ちた言葉で、語りかけています。
「いったい、どちらが教えられているのか・・・」
まさに、それが真実。
「人を育てる」
そのための最も深い技法を学ぶためには、
まず、「教育」や「成長」ということの根底にある
二つの真実に気がつくことです。
第一の真実は、
誰かの成長を支えるためには、何よりも
自分が成長しなければならない
その真実です。
そして、第二の真実は、
誰かの成長を支えることができたとき、気がつけば
自分が成長できている
その真実です。
すなわち、
「人を育てる」という営みは
「己を育てる」という営みと
一対の鏡になっている
我々は、そのことに気がつくべきでしょう。
では、その一対の鏡を見つめながら
家庭や学校、職場や地域において、
子供や生徒、部下や若い世代の成長を支え、
自分自身が成長していくためには、
どうすればよいのか。
そのためには、
どのような「心の技法」が求められるのか。
この第14講においては、そのことを
人を育てる、己を育てる
と題し、具体的な技法を語ります。
田坂広志 拝
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