21世紀のピカソ
かつて、宗教学者の中沢新一氏と対談をしたとき、
氏の語った言葉が、心に残っています。
21世紀のピカソは、絵を描かない。
たしかに、ピカソが活躍した時代には、
絵画的な才能に恵まれた人物の多くは、
油絵や水彩などの分野に向かい、
絵を描くことによって、その才能を表現しました。
しかし、もし、21世紀という時代に
ピカソのような人物が生まれたならば、
その人物は、絵を描くとはかぎりません。
写真や映画、イラストやグラフィック、漫画やアニメ、
レーザーやイルミネーション、ホログラフィーや立体映像、
そして、CGやバーチャル・リアリティ。
「21世紀のピカソ」は、
そうした様々な表現メディアのうち、
いったい、どのようなメディアによって、
その才能を発揮するのでしょうか。
しかし、そのことを考えるとき、我々は、
これから到来するメディア革命の時代が、
「カンブリア紀」であることに気がつきます。
地球46億年の歴史のなかで、
様々な生物種の「進化の爆発」が起こり、
無数の生物種が出現してきたカンブリア紀。
同様に、これからの時代には、
様々な表現メディアの「進化の爆発」が起こり、
そして、無数の表現メディアが生まれてくる。
そのことに気がつくとき、
一つの思いが、心に浮かびます。
無数の表現メディアが生まれる21世紀とは、
無数のピカソが生まれる時代。
その思いが、心に浮かぶのです。
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