「解放」と「混乱」
我が国のネット革命が始まった1996年、
ある雑誌で、立花隆氏と対談をしました。
そのとき、氏が語った言葉を、
印象深く覚えています。
インターネットの出現によって、
マージナルな人々が元気になりました。
たしかに、インターネットという
「草の根メディア」が生まれたことによって、
誰でも、ウェブサイトという「公の場」で、
自由に、自分を表現することができるようになりました。
そして、その結果、
これまでの「マスメディア」では
発言の機会を与えられなかった「辺境の人々」が
活発に、メッセージを発信するようになりました。
超常的現象や超能力を信じる人々。
暴力や性の倒錯的嗜好を持つ人々。
自殺や死の世界に魅せられた人々。
そうした人々が、それまでの禁忌と抑圧を打ち破り、
自由に、その嗜好と思想を表現するようになりました。
そして、それらの表現が、しばしば、
倫理や教育の観点から批判を浴びるようになりました。
インターネットがもたらした、この二つの現象。
精神の「自由」と「解放」。
規範の「逸脱」と「混乱」。
その現象の奥深くを見つめるとき、
この新しい技術によって、
これまで人類が抑圧してきた暗闇に、
一条の光が届きつつあることに、気がつきます。
「集合的無意識」
かつて、心理学者ユングが語った、
我々の心の奥底に共通して存在する、無意識。
いま、その深層に、光が差し込みつつあるのでしょう。
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