風景の余韻
遠い昔、米国の西海岸にある
小さな町を訪れたときのことです。
瀟洒な家並の美しさとともに、
海に沈む夕陽の美しさでも知られた町です。
夕方、町の外れにある海岸に出て、
遠く水平線を望む岩場に腰を下ろし、
夕陽が沈むのを待ちました。
天空を横切った太陽が、
海を赤く染め、輝きを残しながら
水平線の下に消えていく。
静寂の一瞬。
その余韻を胸に、
立ち上がり、帰ろうとしたとき、
気がつきました。
多くの人々が、辺りの岩に腰を下ろし、
静かに、その夕陽を眺めていたのです。
老夫婦や恋人、家族や友人、
様々な人々が、その場にいて、
誰一人、会話をせず、音を立てず、
静寂に包まれて、その夕陽を眺めていたのです。
その光景が、
いまも、心に残っています。
そして、
その人々の姿が、教えてくれました。
余韻に、身を委ねる。
素晴らしい風景と巡り会うとき、
いつも、そのことの大切さを、思います。
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