無意識の権力
政治の権力について
しばしば語られる小話があります。
ある国で、軍事クーデターが起りました。
クーデターの首謀者である将軍は、
民政を倒して独裁体制を敷いたのですが、
そのクーデターを国民が支持しているかが
気になりました。
そこで、その将軍は、年寄りの労働者に変装し、
人々の集まる映画館に行ってみました。
映画の前のニュース放映のとき、
最近のクーデターが報道され、
画面に、戦車に乗った将軍が登場しました。
すると、映画館にいた観客は全員総立ちになり、
将軍を誉め讃える拍手を送ったのです。
満場の観客が拍手する姿を見て、
「このクーデターは、国民から支持されている」と
感激して椅子に座り込んでいた将軍に、
隣で立って拍手をしていた若い労働者が、ささやきました。
おい、じいさん、拍手しな。
拍手しないと、殺されるぜ。
思わず笑いを誘う、この小話。
しかし、一人のマネジャーとして
この話を読むとき、
それが、政治についての風刺であることを超え、
マネジメントについての警句であるように
思えてきます。
なぜなら、
マネジャーが無意識に振り回す権力
それは、しばしば、メンバーから、
自分の好む意見を引き出してしまうからです。
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