「理想的設計」の陰
1960年4月21日、ブラジルにおいて、
都市設計の最先端技術を用いた首都、
ブラジリアが生まれました。
それから10年後、
ある雑誌に載せられた写真が
印象に残っています。
それは、理想的に設計された都市に、
理想的に配置された道路があるにもかかわらず、
それを無視して、ビルからビルへの近道を求め、
多くの人々が歩くことによって作られた
「けもの道」のような小道の空撮写真でした。
なぜか心に残っている、この一枚の写真。
その意味が、
マネジメントの道を歩むようになって
分かりました。
なぜなら、
このブラジリアの「陰の道」の現象は、
マネジメントの世界においても、
しばしば、目にするからです。
理想的に設計された組織。
理想的に配置されたマネジャー。
その組織やマネジャーに対して、
人々は、常に、
現実を動かすために最も有効な
「陰の組織」や「陰のマネジャー」を
生み出していくからです。
そして、そのことに気がついたとき、我々は、
マネジメントが理解すべき、一つの心得を学びます。
「理想」を描き、実現するためには、
「現実」の陰の動きを見つめなければならない。
そのことを学ぶのです。
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