生きていることの証
『精神の生態学』という著作を遺した
文化人類学者、グレゴリー・ベイトソンが、
不思議な言葉を残しています。
複雑なものには、こころが宿る。
こころとは、生きていることの証である。
この二つの言葉は、
我々が、ときおり感じる
ある感覚に、深い示唆を与えてくれます。
なぜ、ものごとが複雑になっていくと、
「いのち」や「こころ」を持つように
見えてくるのだろうか。
その感覚です。
たしかに、いま急激に進みつつある情報革命によって、
社会や市場や企業は、
その複雑性を強め、
自己組織性や創発性を示すようになってきています。
その結果、それらのシステムが、あたかも、
「いのち」や「こころ」を持っているかのように
見えてくるのです。
だから、我々は、
「社会の活力」「市場の反応」「企業の遺伝子」
といった言葉を、自然に使うのでしょう。
しかし、それにもかかわらず、いまだ、我々は、
その「いのち」や「こころ」と呼ぶべき何かに
処すべき方法を知らないのです。
おそらく、それを学ぶことこそが、
ベイトソンが、21世紀の我々に残してくれた
大切な課題なのでしょう。
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