「演技」と「対話」の心得
舞台「夕鶴」の一千回公演で知られる山本安英が、
自著『女優という仕事』の中で、次の言葉を語っています。
相手役のせりふの内的意味がきちんと聞き取れれば、
自分の言葉は自然に口をついて出てくるはずです。
ですから、舞台で相手の演技がとても良かったと思うとき、
そういうときこそ自分も正しく演技ができているのですね。
今日の舞台は我ながら良くできた、などと自分で思うときは、
たいていは駄目なのですね。
この山本安英の言葉は、
「演技」について語られたものですが、
「対話」というものを考えるときにも、
深い示唆を与えてくれます。
なぜなら、「対話」という行為において、
我々は、いつも、
次に自分が語るべき言葉に気持ちを奪われ、
いま相手が語っている言葉に耳を傾けることを
忘れてしまうからです。
そして、
我々は、いつも、
相手の共感を得たいという気持ちに支配され、
相手に共感する心を忘れてしまうのです。
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