意図された創発
いま、最先端科学である「複雑系」(complexity)の理論を
企業組織のマネジメントに生かすための研究が
アメリカを中心として、精力的に行われています。
そして、この研究において大切な言葉に
「創発」(emergence)という言葉があります。
これは、企業組織などで、
個々のメンバーは自由かつ自発的に行動しているにもかかわらず、
誰が意図しなくとも、
自然に秩序だった組織活動や組織形態が生まれる現象のことです。
しかし、このアメリカの複雑系マネジメントの研究において
現在、注目されている言葉は、極めて興味深い響きを持っています。
Intentional Emergence
これは、「意図された創発」と訳される言葉ですが、
東洋思想における「絶対矛盾」を思い起こさせるものです。
意図せぬ創発を、意図的に起こす。
こうした「論理」では割り切れぬ「矛盾」に満ちた言葉が、
科学的なマネジメント論として真剣に語られている。
そのことに、アメリカの経営学が
これから向かっていくであろう
「深み」を予感します。
そして、残念なことに、我々は、
しばしば、「逆輸入」によって、
その「深み」を学ぶのです。
感想を送る
皆さんからのメッセージをお待ちしています。ご意見やご感想をお寄せください。「風の便り」へのご意見や感想は、田坂広志の個人メールアドレスにお送りください。
友達に紹介する
この「風の便り」は、皆さんの友人や知人の方へも、遠慮なく送って差し上げてください。
ささやかな縁と共感の輪が広がるならば、幸いです。
風の便り 配信登録
「風の便り」の配信を希望される方は、こちらをご覧ください。