カオスの蝶
いま、様々な自然災害の衝撃的な光景とともに、
我々が目にする、世界の異常気象と地球の異変。
その意味を考えるとき、
一つの言葉が、
深刻な響きを伴って、心に浮かびます。
「北京の蝶」
北京で蝶が羽ばたくと、
ニーヨークでハリケーンが起こる。
その象徴的な比喩で語られる「バタフライ効果」
地球の片隅で起こる、ほんのわずかな変化が、
遠く離れた地域での、巨大な変動を引き起こしてしまう。
この「非線形性」と呼ばれる恐ろしい性質は、
単に、地球の気象や気候の性質であるだけでなく、
豊かな生態系も含めた
この地球というシステムの根本的な性質でもあります。
しかし、この「非線形性」という言葉は、
これまで、「カオス理論」と呼ばれる
先端科学の研究テーマに過ぎませんでした。
その言葉が、
単なる理論であることを超え、
まさに「カオス」と呼ぶべき現実として
目の前に展開していることに、
我々は、気がつき始めています。
わずかな気候の変動が、巨大な災害を引き起こし、
わずかな気温の変化が、生態系の壊滅をもたらす。
この「カオスの蝶」の舞う世界で
いかに生きるか。
その課題の深刻さに
我々は、気がつき始めているのです。
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