戦場写真家の心
「レンズの眼を持つ哲学者」
そう呼ばれる、一人の写真家がいます。
いまも世界各地で引き起こされる戦争。
その苛烈な戦場に身を投じ、
極限の状況にある人々の姿を写真に収め、
戦争の悲惨を世界に伝え続ける
戦場写真家、ジェームズ・ナクトウェイ。
彼の活動を伝える映画、
『戦場のフォトグラファー』において、
ナクトウェイは、次の言葉を語っています。
写真家として最も辛いのは、
他の誰かの悲劇で得をしていると感じることだ。
この考えは、常に私につきまとう。
人々への思いやりよりも、
個人的な野心を優先すれば、
私は、魂を売り渡すことになる。
人を思いやれば、
人から受け入れられる。
そして、
その心があれば、
私は、私を受け入れられる。
ナクトウェイが内省的に語る、この言葉を聞くとき、
我々は、自分の心の中にある、
密やかな野心やエゴの存在に、気がつきます。
そして、そのことに気がつくとき、
ナクトウェイという人物の強さが
いかなる強さであるかに、気がつきます。
自分の心の中の、
野心やエゴの姿が、見えている。
そのことが、彼の強さであることに、
気がつくのです。
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