若き宣教師の誇り
アメリカに住んでいた頃のことです。
爽やかな初夏の週末、
自宅に、一人の宣教師が訪れました。
その宣教師は、
背の高い金髪の青年であり、
聡明な顔立ちと真摯な眼差しを持った
透明感のある人物でした。
彼は、短い挨拶と自己紹介の後、
机の上に聖書を差し出し、
静かに、こう語り始めました。
あなたは、真理を掴まれていますか。
その言葉の奥からは、
真理を掴んだ人間の誇りと、
それを人々に伝えることの喜びが
伝わってきました。
その宣教師は、それから一時間、
聖書の素晴らしい教えについて、
熱を込めて語り、
最後に、日曜日の教会に来ることを勧め、
帰っていきました。
その後姿を見送るとき、
その青年の純粋で誠実な人柄に共感を覚えながらも、
かつて、ある宗教家が語った言葉を思い出しました。
自分は真理を掴んだ人間である。
その思いほど、
人間のエゴを満足させるものはない。
我々は、そのエゴの姿に気がついたとき、
初めて、本当の旅に出るのでしょう。
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