心理学版・イソップ物語
イソップ物語に、
「北風と太陽」という有名な話があります。
北風と太陽が、
どちらが旅人のマントを脱がせることができるか、
その力を競う話です。
北風は、力ずくで無理やり脱がそうとして失敗しますが、
太陽は、旅人をポカポカと暖めることによって、
自然にマントを脱がせることに成功するという話です。
この物語の「心理学版」をご存知でしょうか。
まず北風が、
「俺が、旅人のマントを脱がせてみせる」といって、
旅人のマントを剥ぎ取ろうと、強い風を吹きつけます。
しかし、旅人は、寒さのあまり、
ますますしっかりとマントをつかんで離さないため、
北風の試みは失敗に終わります。
ここまでは、同じ物語です。
そこで太陽が、
「私が、旅人のマントを脱がせてみせましょう」といって、
旅人をポカポカと暖めます。
すると、旅人は、
暑さのあまり、自然にマントを脱ぐのではなく、
太陽に向かってこう言うのです。
太陽さん。そうしてポカポカと暖めて、
私のマントを脱がそうとしているのでしょう。
でも、残念ながら、私は、あなたの思うとおりにはなりませんよ。
この「心理学版・イソップ物語」は、
我々の中に潜む「他者を自由に操りたい」という願望や、
密やかな「操作主義」について語ったものです。
そして、この「操作主義」は、
マネジメントに携わる人間が、無意識に陥る、
危うい落し穴でもあるのです。
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