カオスの縁の「物語」
1990年代半ば、科学の最先端では、
世界のトップレベルの研究者たちが、
アメリカのニューメキシコ州にある
サンタフェ研究所に集まり、
「複雑系」の研究を進めていました。
そして、この分野におけるカリスマ的研究者であり、
「人工生命」の研究の世界的権威であった
クリストファー・ラングトンが、
興味深い理論を述べています。
それは、「カオスの縁」という理論。
最も生命的な現象は、
完全な「秩序」(オーダー)でもなく、
完全な「混沌」(カオス)でもない、
その境界の「カオスの縁」と呼ばれる領域に生じる。
このラングトンの語る理論は、
我々が「いのち」というものを考えるとき、
深い洞察を与えてくれるだけではありません。
それは、東洋思想において伝えられる
「中道」や「中庸」という言葉が、
真に意味するものを教えてくれます。
そして、この理論は、
「こころ」や「ことば」というものを考えるときにも、
我々に、大切なことを教えてくれます。
なぜ、
あまりにも「具体的」な物語や、
あまりにも「抽象的」な物語は、
生命力を持つことができないのか。
その理由を、教えてくれるのです。
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