「情報化」の逆説
プロ野球、ヤクルトの監督時代に、
「データ重視の野球」を掲げてペナントを制し、
西武とのシリーズで日本一に輝いた野村克也氏が、
後日、テレビの番組に出演して語った言葉が、
印象に残っています。
監督、ヤクルト優勝の勝因は、やはり、
「データ重視の野球」ですね。
このインタビュアーの質問に対して、
野村監督は、憮然とした表情で、こう答えました。
「データ重視の野球」ということならば、
いまどき、どこのチームも、
多くのスコアラーを派遣し、
大量のデータを入手して、
徹底的に分析していますよ。
肝心なことは、
その膨大なデータ分析結果の中から、
次の試合に勝つためのポイントを、
いくつかに絞って掴み出すことです。
そして、そのポイントを、
それぞれの選手の個性に合わせて、
これとこれ、といって
分かりやすく伝えてやることですよ。
この野村監督の言葉は、
「情報化」についての
一つの逆説に、気がつかせてくれます。
「情報化」によって、
我々の「思考」は、決して楽にはならない。
それは、我々に、
ますます深い「智恵」を求めるからです。
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