「希望」の新たな意味
10年以上前のこと、
世界的に著名なチンパンジー研究者であり、
国連「平和の使者」でもある、
ジェーン・グドール博士を囲む会に出席しました。
その会合において、彼女は、
優しい語り口で、人類の「希望」について語っていました。
世界中の環境破壊や戦争の悲惨を、目の当たりにし、
9月11日の事件も、間近で目撃した彼女でしたが、
その話の内容は、
彼女の著作『Reason for Hope』の表題どおり、
なぜ、我々が、こうした破壊や悲惨に満ちた世界において、
なお、未来に「希望」を持ち続けるべきか、
そのことを、
深く、静かな信念に満ちて語ったものでした。
その彼女の言葉の余韻の中で、
独り、帰途についたとき、
ふと、心に浮かんできた思いが、ありました。
「希望」とは何か。
いま、この世界には「悲しみ」や「苦しみ」が溢れている。
しかし、いつか、この世界にも「良きもの」が訪れる。
「かならず、良きものが訪れる」
その「未来」を信じられることを、
我々は、「希望」と呼びます。
しかし、「希望」という言葉の本当の意味は、
そうではないのかもしれません。
「訪れるものは、すべて良きもの」
いま、この世界に溢れている「悲しみ」や「苦しみ」。
そのことも含め、すべてのものごとが、
この世界に「良きもの」が生まれてくるための
深い「意味」を持っている。
その「意味」を信じられることを、
我々は、「希望」と呼ぶのかもしれません。
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