歴史を生きた人々
「テレビで、歴史のドキュメンタリー番組を観ていると、
涙が止まらなくなる」
ある哲学者が、エッセイの中で、そう語っています。
例えば、ベトナム戦争の末期、サイゴン陥落のとき、
迫りくる戦火から逃れるため、満員の船に妻子だけを乗せ、
今生の別れを覚悟して、独り見送る夫。
サイゴン脱出のため離陸しようとする米軍輸送機に、
乗せてもらおうとしがみつく、ベトナムの人々。
それを必死になって蹴落とす、米軍の兵士。
そうした歴史を生きた人々の映像を観るとき、
我々は、胸が熱くなるのを抑えることができません。
その感情の奥には、一つの思いがあります。
この人々の人生は、
ほんのわずかの偶然で、
自分の人生であったかもしれない。
その思いです。
そして、その思いに気がつくとき、
我々は、理解します。
「もう一人の自分」を見つめるまなざし。
それが、「共感」ということの
本当の意味であることを。
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