物語の意志
かつて、小説家の遠藤周作氏が、対談の中で、
次のようなことを語っています。
ある男女の心中物語を書こうとしたら、
筆が進むにつれ、その主人公たちが、
「死にたくない」と叫びだし、
結局、彼らを殺せなかった。
この話を思い起こすとき、
一人の著者として、
大切な心得を教えられます。
素晴らしい物語は、
「著者の意図」によって書かれるのではない。
「物語の意志」によって生まれてくる。
たしかに、
「執筆」という営みの最も生命的なプロセスは、
「自分が書いている」のではない、
「何かに書かされている」とでも呼ぶべき状態が
突如、生まれてくることです。
しかし、
その「何か」とは、何か。
その「物語の意志」とは、誰の意志か。
その問いを抱くとき、我々は、
「執筆」という行為の本質を知ります。
自己の「深層意識」との対話。
それが、
「執筆」という営みの
真の姿であることを、知るのです。
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