「複雑系」の逆説
かつて、「複雑系」についての講演の場で、
聴衆の方から、ある質問を受けました。
企業や市場や社会が「複雑」になっていくとき、
それらをマネジメントするための技法は、
やはり、高度で「複雑」なものになるのでしょうか。
たしかに、「複雑系」というものを考えるとき、
この問いは、誰の心にも浮かぶ、素朴な問いです。
しかし、現代科学の最先端で
「複雑系」の研究が見出したのは、
不思議なことに、
東洋思想に語られる、一つの「逆説」でした。
「単純化」
それが、「複雑系」をマネジメントするために求められる
最も有効な技法であることを、見出したのです。
例えば、「ツボ」や「コツ」
例えば、「急所」や「要諦」
複雑なシステムをマネジメントするとき、
そのシステムの中の最も効果的な部分を発見し、
そこに力を集中し、働きかける。
その「単純化」こそが、
「複雑系」のマネジメントの技法であることを、
見出したのです。
しかし、同時に、
この「複雑系」の研究は、
東洋思想における、もう一つの「逆説」を、知りました。
「単純化」とは、最も高度な技法である。
そのことを、知ったのです。
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